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「若き見知らぬ者たち」

作品名若き見知らぬ者たち
公開年2024
監督内山拓也
原作
主な出演者磯村勇斗、岸井ゆきの、福山翔大、染谷将太、滝藤賢一、豊原功補、霧島れいか
上演時間119分
評価3     
見どころ 内山拓也監督による商業長編デビュー作で、フランス・韓国・香港・日本の4か国共同製作としても注目を浴びました

現代日本が抱える問題(家族、福祉、暴力、そして声を上げられない若者たち)を静かに鋭く描き出した作品です

あらすじ

郊外の一軒家で暮らす彩人(磯村勇斗)は、父の死後、家庭を背負わざるを得ない立場に追い込まれています

母・麻美(霧島れいか)は精神的に不安定で、日常生活を送ることすら困難な状態。徘徊、過食、近所への迷惑行為を繰り返し、すでに家庭は限界を迎えています

しかし、彩人は公的支援を頼ろうとはしません

まるで父の過去の失敗と、自分の無力さを償うかのように、過酷な現実を一人で抱え込もうとしています

一方、弟の壮平(福山翔大)は格闘家としての道を進んでおり、兄の孤独に気づいているものの、深く関わらずにいます

そんなとき、彩人が働くカラオケバーで暴力事件が起き、物語は止まっていた時間が動き出すかのように、予想外の展開へと加速します

見どころ

声なき絶望の描写
本作が強く印象づけるのは、「声を上げない(上げられない)」人々の姿です

家庭の崩壊、福祉へのアクセスの欠如、孤独の中に沈みゆく介護者

本作では、それらをセンセーショナルには描かず、静かな視点で映し出していきます

彩人の「何も変えようとしない姿勢」は、観る者に歯がゆさを与えますが、やがてそれが「無力さの表現」ではなく、「罪悪感からくる自己処罰」であることに気づかされます

理不尽な暴力への抵抗
物語の終盤には、彩人が理不尽な暴力を受けるシーンがあります

その後、その理不尽な暴力と対比するかのように、弟・壮平の格闘技の試合が約5分以上のロングショットで描かれます

壮平が一心不乱にリングで戦う姿は、兄が受けた理不尽な暴力への「無言の抗議」や「悔しさの表現」とも受け取れます

登場人物たちの「無力さ」
彩人の恋人・日向(岸井ゆきの)は看護師でありながら、介護制度や福祉サービスに対して具体的なアクションを起こすことはありません

また、彩人の親友・大和(染谷将太)や、弟の友人である警察官も、暴力事件の真相に対して動く気配はありません

この「誰も動かない、何も変えようとしない」、そんな無関心の連鎖こそが、本作の最大の問題提起なのかもしれません

見て見ぬふりをする社会の中で、誰が本当に他者の痛みに向き合えるのか、そんな問いが観る者の心に残ります
 

若き見知らぬ者たち

 

ロケ地

水戸赤十字病院
旧渋川総合病院
茨城県境町