「ある男」

作品名ある男
公開年2022
監督石川慶
原作平野啓一郎
主な出演者妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝、清野菜名、眞島秀和、河合優実、仲野太賀、柄本明
上演時間121分
評価3.5     
感想 平野啓一郎の小説を基に映像化された作品。
 

 
宮崎県に戻った里枝(安藤サクラ)は、谷口大祐(窪田正孝)と出会い、新たな生活を始める。しかし、幸せな日々もつかの間、大祐は事故で亡くなってしまう。
 
彼の一周忌の日に、大祐の兄・恭一(眞島秀和)が現れ、仏壇の写真が実は偽物であることが明らかに。里枝は、愛していた夫が実は“X”という謎多き人物であったことに気づき、真実を追い求める決意をする。
 
弁護士・城戸(妻夫木聡)が調査を進める中で、様々な社会問題や個人の苦悩が浮き彫りにされ、物語はさらに複雑さを増していく。
 

 
本作は、アイデンティティと自己認識に関する深いテーマを掘り下げた作品である。まず、映画の中心にある「偽の人生」と「本物の人生」という対比が、視覚的にもストーリーテリングにも巧みに組み込まれている。映画冒頭とラストシーンで描かれるルネ・マグリットの絵画「複製禁止」は、物語全体のテーマを象徴するものであり、他人の人生を模倣することの不完全さや不条理さを映し出している。
 
安藤サクラと窪田正孝の演技は非常に力強く、特に安藤サクラの感情の揺れ動きや葛藤は観客に深い感銘を与える。
 
妻夫木聡が演じる弁護士・城戸もまた、内面的な葛藤と社会的な問題に向き合う姿がリアルに描かれており、物語に深みを加えている。
 
物語は、社会的な背景や個人の痛みを織り交ぜながら進行し、その過程で観る者に深い考察を促す。戸籍交換や偽のアイデンティティというテーマは、日本社会の複雑さや個人の孤立感を浮き彫りにし、強いメッセージを与えている。
 

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