作品名 | 弥生、三月-君を愛した30年 |
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公開年 | 2020 |
監督 | 遊川和彦 |
主な出演者 | 波留、成田凌、杉咲花、岡田健史、小澤征悦、黒木瞳 |
上演時間 | 109分 |
評価 | 4.5 |
感想 | 高校時代から始まる主人公の30年を、各年の3月に起きた出来事に焦点を当て描いている。その設定が面白い。 学生のころ陽気に語っていた夢が大人になって壁にぶつかる、一時は自暴自棄になるが、再び自分らしさを取り戻す。そんな山あり谷ありのストーリーが30年という時の長さと合わさって、心にしみる出来栄えになっている。特に、バスや教室でのシーンで、高校時代の出来事を伏線として現在につなげる構成は素晴らしい。主人公の変わらない姿に喝采! Amazon.co.jp |
ストーリー
結城弥生(波留)は真っすぐな性格で、はっきりと物を言うタイプである。高校時代に親友の渡辺サクラ(杉咲花)を病気で亡くしたことが悲しみの記憶となって頭を離れずにいる。サクラは同級生でサッカー部の山田太郎(成田凌)に思いを寄せていたが、本心を打ち明けられなかった。弥生と太郎はよく口喧嘩をしサバサバした関係であるが、内心は互いに心惹かれている。しかし、若くして亡くなったサクラを思いやり、その距離は縮まらない。
待て~
通学のバスに乗り遅れ、走って必死に追いかける弥生。後部座席で振り返る太郎。急停止するバス。弥生はバスに乗り込み、サクラに「おはよう」と声をかけ、太郎の方を見て近づく。
弥生:あんたさぁ、サッカー続けたら。なんで辞めたのよぉ。他に取り柄もないのに
太郎:いやいや、お前には関係ないだろう
弥生:彼女が心配しているの。あんたがサッカーをやっているのを見たら、元気がでるんだって
太郎:あいつにも言っとけよ。お前が元気になろうが死のうが関係ないって
バシッ
ロケ地 | 陸前落合駅前 |
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所在地 | 〒989-3126 宮城県仙台市青葉区落合2丁目 |
アクセス | 陸前落合駅からスグ |
俺が結婚してやるよ
高校卒業の日の帰り道
弥生:大学行かないでクラブチームでプロを目指すって言ったけど、本気なの
太郎:当たり前だろ。もうすぐプロリーグも始まるし、ワールドカップで得点王になるのが俺の夢なんだ
弥生:大丈夫。かなり無理ある感じだけど
太郎:うっせぇな。そっちはどうするんだよ
弥生:私はサリバン先生みたいな教師になる
やがて二人は桜の木を正面にして左右に分かれる道に差し掛かる。「じゃあな」。太郎は左、弥生は右。とうとう想いを告げられなかった二人。何歩か進んだ時、太郎が弥生に向かって言う。
太郎:弥生、もし40過ぎても独身だったら、俺が結婚してやるよ
ロケ地 | 登米市南方桜街道 |
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所在地 | 〒987-0401 宮城県登米市南方町 |
アクセス | 瀬峰駅から車で約15分 |
あんたといると、サクラのこと思い出して辛くなるの
弥生と太郎はそれぞれ別の人と結婚するが、うまく行かない。
太郎はクラブチームを解雇され、離婚。息子のあゆむと別れて暮らすことになる。
弥生は介護が必要となった父のため、夫の白井卓磨(小澤征悦)とともに東京から実家のある東北へ引っ越すが、そこで地震に遭い、卓磨を亡くす。避難所で打ちひしがれる弥生。駆けつける太郎。
「東京に居れば、こんな事にはならなかったのに」と卓磨の両親に言われ、自責の念に駆られた弥生は教師を辞める。
ロケ地 | 仙台市秋保体育館 |
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所在地 | 〒982-0243 宮城県仙台市太白区秋保町長袋上原21-3 |
アクセス | 仙台駅西口からバスで約1時間、秋保中学校前下車徒歩5分 |
30年以上前の物だから、聞きづらいかもしれないけど
太郎は息子のあゆむ(岡田健史)とサッカーボールを蹴っている。
あゆむ:そう言えばさ、弥生さんだっけ、ほら、昔、物凄い顔で俺にボール蹴れって命令してきた、あの人元気?
太郎:何年も連絡取ろうとしてんだけど、どこにいるかさっぱり
あゆむ:えっ、じゃあもう会うの諦めたの?
太郎:向こうが会いたくないみたいだし
あゆむ:俺、あの人みたいになりたくて、教師になったんだけどな
そのとき、太郎の母・真利亜(黒木瞳)から電話がかかってきた。サクラの父が訪ねてきたという。太郎は母が営む食堂「山田屋」に行き話を聞く。
サクラの父:サクラが死ぬ前に録音したテープなんです。もしお二人が結婚したら、式で流してくれって頼まれたんです。
ロケ地 | ワタママ食堂 |
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所在地 | 〒986-2122 宮城県石巻市幸町2-3 |
アクセス | 渡波駅から車で3分 |
サクラは二人に出会えて幸せでした
太郎は弥生を探し出し、サクラのテープを渡す。
弥生は駅のホームのベンチに座り、テープを聴くか迷っている。一旦は、ベンチにテープを置いたまま電車に乗ろうとするが、扉が閉まる寸前、思い直し電車を降りる。テープからは懐かしいサクラの声。二人への想いが切々と語られていた。
ロケ地 | 仙台市地下鉄愛宕橋駅 |
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所在地 | 〒984-0065 宮城県仙台市若林区土樋70-1 |
アクセス | 愛宕橋駅 |
この先生は、どんなときも、あんた達を見捨てないよ
弥生は太郎にテープを返すため地元に戻る。そこで、バスに乗ろうとする太郎を見かける。動き出したバス。追いかける弥生。「待て~」
なんとかバスに乗れた弥生は、太郎からあゆむが担任を辞めさせられようとしていて、今から学校に向かうところだと聞く。なんでも、いじめをした生徒に謝らせようとしたら、逆に生徒の保護者から抗議にあったとのこと。
二人が教室に着くと、あゆむが生徒と保護者に「いじめは間違っている」と説明していた。しかし、受け入れられず、同僚の教師達も「穏便に収めて」と言うばかり。生徒からは「辞めろ」コールが起きる。そのとき、弥生が前に進み出る。
「静かにしなさい!」
ロケ地 | 宮城県立泉松陵高等学校 |
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所在地 | 〒981-3109 宮城県仙台市泉区鶴が丘4丁目26-1 |
アクセス | 泉中央駅からバスで約17分、「泉松陵高校前」下車、徒歩5分 |