「熱のあとに」

作品名熱のあとに
公開年2024
監督山本英
原作
主な出演者橋本愛、仲野太賀、木竜麻生、坂井真紀、木野花、鳴海唯、水上恒司
上演時間127分
評価3     
感想 2019年に実際に起きた新宿ホスト殺人未遂事件から着想を得た作品

監督の山本英は、大学院修了作品で高い評価を得た若き映像作家であり、本作が商業長編デビュー作

愛ゆえの激しい気持ちが正しさを見失って暴走し、その後、普通の生活へ戻ろうともがく女性の物語です
 

 
沙苗(橋本愛)は、かつて愛したホスト・隼人(水上恒司)を刺し殺そうとして逮捕されるという衝撃的な過去を持ちます

それから6年、出所した沙苗は林業に従事する健太(仲野太賀)と結婚し、穏やかな日常を送っていました

しかし、近所に越してきた足立(木竜麻生)というどこか得体の知れない女性と関わり始めたことで、沙苗の心の奥に押し込めていた感情が再びゆっくりと動き出します
 

 
橋本愛は、過激な過去を抱えた主人公を、そんな気配を感じさせない落ち着きと、胸の奥に秘めた強い思いをにじませながら演じています。穏やかな佇まいの裏に潜む「静かな情熱」が、物語にほどよい緊張感をもたらしています

また、健太役の仲野太賀が見せる「相手をそっと受け止めるあたたかさ」が、とても印象的です。沙苗の過去を受け止める彼の存在が、沙苗の内側に芽生える「普通でいたい」という欲望と、かつての「熱情」への執着との対比を際立たせています

作品全体として、人物の行動の理由がはっきりしない場面もありますが、むしろその「分かりにくさ」こそが、人生の曖昧さや複雑さを映し出し、観る人それぞれが受け取る余白を生み出しているように思います
 

Amazon.co.jp
 
ロケ地
白樺湖湖畔
サワ・ルージュ
諏訪市役所
JR上諏訪駅西口