映画「ちょっと思い出しただけ」は、池松壮亮と伊藤沙莉が元恋人同士を演じる、切なくも美しいラブストーリーです。時間を巻き戻すように進むストーリー展開と、リアルな会話劇が観る者の心を静かに打ちます
あらすじ:別れたふたりの”思い出”をなぞる一日 かつてダンサーとして夢を追っていた**照生(池松壮亮)**は、怪我により引退を余儀なくされ、現在は劇場で裏方の仕事に就いています。ある日、**タクシードライバーの葉(伊藤沙莉)**が乗客の都合でその劇場を訪れ、偶然、舞台の準備をしている照生と再会します実はこの二人、かつて恋人同士だったのです。物語はこの再会をきっかけに、ふたりの関係がどう変化してきたのかを時間を遡る形で描いていきます
時を巻き戻す演出が、別れの切なさを際立たせる この映画の最大の特徴は、「過去に遡る」というユニークな構成です。時間が戻っていくことで、ふたりがどんな風に出会い、どんな日々を過ごし、そしてどうして別れることになったのかが少しずつ明らかになります。その演出が、別れの切なさや、思い出の尊さをいっそう深く感じさせてくれます 会話劇の妙と俳優陣の名演技が光る 照生と葉の自然体な会話はテンポが良く、何気ない一言にも笑いと哀しみが詰まっています。主演の池松壮亮と伊藤沙莉の演技が絶妙で、リアルな恋愛の機微が生々しくも優しく描かれています。セリフの一つひとつに、監督のセンスと脚本の巧みさを感じさせます 永瀬正敏が演じる“想いを抱き続ける男”の存在感 さらに、永瀬正敏が演じる、亡き妻への思いを抱えて生きる男性のエピソードも印象的です。彼が月命日になると訪れる公園のベンチで見せる静かな佇まいは、物語に深みを加え、「想い続けることの強さと優しさ」を象徴する存在となっています ラストシーンが心に残る、優しい余韻 過去を振り返りながらも、物語はやがて現在へと戻ります。そこで描かれる主人公の前向きな気持ちは、観る者の心にそっと寄り添い、まるで心地よい風が吹き抜けるような、温かい余韻を残します
ちょっと思い出しただけ 本作は、「忘れられない恋」や「過去との向き合い方」をテーマにした映画を探している人にぴったりの一本です ロケ地 Sutudio Andante9(東京都渋谷区) 八景島シーパラダイス(神奈川県横浜市) 高円寺ストリート(東京都杉並区) 万国橋(神奈川県横浜市) |