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「ファーストキス 1ST KISS」

作品名ファーストキス 1ST KISS
公開年2025
監督塚原あゆ子
原作
主な出演者松たか子、松村北斗、吉岡里帆、森七菜、リリーフランキー
上演時間124分
評価4     
感想 本作は、「もし人生をやり直せるなら、もう一度あの人に恋をするだろうか」という問いを静かに描き出す、切なくも温かなラブストーリーです
 

 
長年連れ添った夫を突然の事故で失ったカンナ(松たか子)

悲しみに暮れる日々を過ごしていた彼女は、ある出来事をきっかけに、夫・駈(松村北斗)と出会う前の過去へと戻ってしまいます

まだ自分と出会っていない若き日の駈。未来を知るのはカンナだけ

再び彼と向き合う中で、かつて気づけなかった優しさやすれ違い、そして夫婦として過ごした時間の意味が少しずつ浮かび上がっていきます
 

 
本作の魅力は、タイムトラベルという設定を用いながらも、派手な展開ではなく「夫婦の記憶」と「日常の積み重ね」に丁寧に焦点を当てている点にあります

カンナと駈もまた、結婚当初は確かに惹かれ合い、笑い合っていたはずの二人でした。しかし年月を重ねる中で、少しずつすきま風が吹き、いつしか会話も減り、同じ時間を過ごしながら心の距離が生まれていきます。その姿は決して特別なものではなく、多くの夫婦がどこかで経験し得る現実として、切なさを伴って描かれます

時間が経てば、関係性は変わっていきます。出会った頃のままでいられる夫婦は決して多くありません。それでも、もし突然の別れが訪れたとき、自分は相手との日々をどう振り返るのか、本作はそんな問いを投げかけてきます

長く共に過ごした時間は、やがて人生そのものの大きな一部となっていきます。だからこそ失ったときに残る空虚さは深く、その存在の大きさに初めて気づかされるのです

松たか子は、喪失を抱えながらも過去と向き合う女性を繊細に演じ、抑制された表情の中に複雑な感情をにじませます。一方の松村北斗も、まっすぐで不器用な青年像を自然体で体現し、時間を越えて積み重なる関係に確かな説得力を与えています

物語が進むにつれ、何気ない会話や仕草の一つひとつがかけがえのないものとして胸に迫り、やがて訪れる選択の瞬間には涙を誘います

本作は、人が出会い、共に時間を重ね、やがて別れと向き合うという人生の普遍的な姿を描いた作品であり、観る者それぞれの記憶に静かに寄り添う一作です
 

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